生成AIで商品POPを作る前に確認したい表示・広告ルール
生成AI画像でのポップや広告、町に増えてきましたね。
今回は食品表示法、公正競争規約、薬機法、景表法の注意点をまとめました。
要点
- 生成AIが作った食品POPや広告でも、原材料・アレルゲン・栄養成分・価格・原産地・効能などの誤りは販売者側の責任になります。AIには事実を推測させず、商品仕様書や根拠資料と必ず照合します。
- 特に注意したいのは、食品表示法、公正競争規約、景品表示法、薬機法・健康増進法です。「No.1」「今だけ」「治る」「痩せる」「完全無添加」「医師推奨」などは、根拠や商品区分の確認なしに使わないことが重要です。
- 防止策は、AIを「原案作成」に限定し、公開前に①表示事実、②広告表現の根拠、③媒体ごとの必要表示を人が確認する3段階チェックを設けることです。
生成AIは、商品POP、店頭パネル、ECサイトの商品説明、SNS投稿などを素早く作れる便利な道具です。しかし、もっともらしい表現や数値、原材料情報まで補ってしまうため、確認せずに使うと表示・広告ルールに触れるおそれがあります。
特に食品、健康食品、化粧品、サプリメント、医療機器などは、言葉ひとつで「誤認を招く広告」や「根拠のない効能表示」になりかねません。AIが作った文章や画像であっても、最終的な表示責任は販売者・広告主側にあります。
この記事では、生成AIでうっかり違反しやすい主なルールと、現場で実行できる防止策を整理します。
食品表示法|AIに原材料・栄養成分・アレルゲンを推測させない
食品のパッケージやラベルに記載する「名称」「原材料名」「添加物」「内容量」「賞味期限・消費期限」「保存方法」「製造者または販売者」「栄養成分」「アレルゲン」などは、食品表示法と食品表示基準に沿って正確に表示する必要があります。AIは商品名や一般的なレシピから、それらしい原材料や栄養成分を生成できますが、実際の配合や検査値と一致する保証はありません。
たとえば、AIが「国産小麦使用」「卵・乳・小麦を含む」「1個あたり150kcal」と書いたとしても、仕入先の原料規格書、製造記録、栄養計算・分析結果と合わなければ使えません。「保存料不使用」としたものの、使用している原材料に保存目的の添加物が含まれていた、というケースも起こり得ます。
また、アレルゲン表示の誤りは、単なる表現上のミスでは済まない重大なリスクです。POPだけでなく、棚札、メニュー、ECページ、画像内テキストも、消費者の購入判断に影響する表示として扱う意識が必要です。食品表示は「AIに原案を書かせ、商品仕様書と照合して確定する」作業に分けるのが安全です。制度の詳細は消費者庁の食品表示法等の案内と食品表示基準で確認できます。
公正競争規約|食品ジャンルごとの独自ルールを見落とさない
公正競争規約は、業界団体が景品表示法に基づいて設けている表示・景品類の自主規制です。法律そのものではありませんが、消費者の誤認を防ぐために、特定の商品分野でより細かな表示基準を定めています。食品では、飲料、コーヒー、チョコレート、アイスクリーム、食肉、はちみつ、食用塩、辛子明太子など、商品分類によって対象となる規約が存在します。
生成AIでPOPを作ると、「高級」「本格」「天然」「無添加」「プレミアム」「厳選」「産地直送」など、魅力的に見える言葉が多用されがちです。しかし、これらは商品分類や実態によっては、原料、製法、原産地、等級などを裏付ける必要があります。たとえば「北海道産」と大きく表示しながら、どの原料が北海道産なのかが分かりにくい場合、消費者に商品全体が北海道産であるような印象を与えるおそれがあります。
重要なのは、AIに「規約を守ったPOPを作って」と頼むだけで済ませないことです。商品カテゴリ、該当する公正競争規約、原料原産地、実際の製法、受賞歴、価格条件を人が確認し、使える表現だけをAIに渡してください。特に「業界No.1」「地域初」「最高級」「唯一」「完全無添加」といった断定表現は、規約の有無にかかわらず、根拠確認が必要です。
景品表示法|「おいしそう」よりも「実際より良く見せる表現」が危険です
景品表示法では、商品・サービスの品質、規格、性能、内容などを実際より著しく優良に見せる表示である「優良誤認表示」と、価格や取引条件を著しく有利に見せる「有利誤認表示」が禁止されています。生成AIは販売促進に適した強い言い回しを出しやすいため、この領域は特に注意が必要です。
たとえば、「飲むだけで痩せる」「疲れが完全に取れる」「業界最高水準の保湿力」「通常価格9,800円が今だけ1,980円」といった言葉は、事実や根拠の確認なしに使えません。「通常価格」を表示するなら、実際にその価格で相当期間販売していたのか、「今だけ」「限定」を使うなら、本当に期間・数量・対象が限定されているのかを確認する必要があります。
AI画像にも注意が必要です。実物より大きく豪華に見える料理写真、実際には付属しないトッピング、加工によって過度に見栄えを良くしたビフォーアフター、存在しない利用者の声などは、文字がなくても誤認を生む可能性があります。広告を出す前に、「この表現を読んだ人は、実際の商品を受け取ったときに同じ印象を持つか」を確認する姿勢が大切です。優良誤認表示の考え方は消費者庁の公式解説も参考になります。
薬機法・健康増進法|食品や化粧品を薬のように見せない
サプリメント、健康食品、化粧品、入浴剤、美容機器、マッサージ機器などは、生成AIが「健康」「美容」「改善」といった訴求を強めたことで、薬機法や健康増進法の問題につながりやすい商品です。
一般食品やサプリメントに対して、「糖尿病を改善」「血圧を下げる」「がんを予防」「不眠を治す」「花粉症に効く」など、病気の治療・予防を思わせる表現を使うことは危険です。「免疫力を高める」「脂肪を燃やす」「腸内環境を必ず整える」といった表現も、商品区分、届出・許可の有無、科学的根拠との関係を慎重に確認しなければなりません。
化粧品についても、「シワが消える」「肌を再生する」「細胞を修復する」「毛穴を完全になくす」といった効能をうたうことはできません。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器には、それぞれ認められた効能の範囲があります。医師や専門家が効果を保証したように見える表現、体験談を使って効能を断定する表現、承認前の医薬品等を宣伝することにも注意が必要です。
健康食品では、景品表示法と健康増進法も重なります。AIに「売れる健康食品POP」を作らせると、薬のような強い表現になりがちです。生成時点で「食品としての表現に限定し、疾病の治療・予防、効果保証、医師推奨、ビフォーアフターの断定は書かない」と明記し、最終的には薬事・表示担当者が確認する体制を整えましょう。厚生労働省の広告規制案内と、消費者庁の健康食品に関する留意事項が確認に役立ちます。
ステマ規制・口コミ表示|AIで作った「お客様の声」は使わない
AIに「購入者の口コミを10件作って」「リアルな体験談を書いて」と依頼し、その内容をPOP、ECサイト、SNS広告に載せることは避けるべきです。
実在しない購入者の感想や、実際には行っていないアンケート結果を表示すれば、景品表示法上の問題になるおそれがあります。
また、2023年10月からは、広告であることを隠すステルスマーケティングも景品表示法上の規制対象です。
企業がインフルエンサー、従業員、取引先などに依頼・関与して投稿する場合、消費者が広告だと分かる形にする必要があります。「#PR」「広告」「提供」などの表記を、投稿内容や媒体に応じて明瞭に示すことが重要です。
AIで架空の人物写真やレビュー風の画像を作る場合も、実在する利用者の声のように見せない配慮が必要です。どうしてもイメージとして使うなら、「イメージ」「創作例」「スタッフのコメント」など、実体験ではないことが分かる表示を添えましょう。
本物の口コミを使う際も、内容を都合よく書き換えたり、否定的な条件を削除したりせず、掲載許可と原文管理を行うことが大切です。
通販・EC表示|AI任せの販売条件、価格、返金表現に注意する
ECサイト、LP、Instagram経由の販売ページでは、商品の魅力だけでなく、価格、送料、返品条件、定期購入の条件、支払時期、事業者情報なども購入判断に直結します。AIは文章を整える際に、「いつでも解約可能」「返金保証」「送料無料」「最安値」「初回無料」といった訴求を加えることがありますが、実際の販売条件と少しでも違えばトラブルにつながります。
特に定期購入では、「初回500円」と大きく見せながら、2回目以降の金額、購入回数の条件、解約方法、解約期限を目立たない位置に置くことは危険です。返品・返金についても、「未開封のみ」「到着後7日以内」「返送料は購入者負担」など、運用ルールと一致した内容にする必要があります。AIが書いた販売ページをそのまま公開せず、受注担当・経理・カスタマーサポートと照合してください。
また、AIが作った比較表や価格表は、更新漏れが起こりやすい部分です。キャンペーン終了後も「期間限定価格」が残る、在庫切れ商品を掲載したままにする、競合他社の古い価格と比較する、といった状態は有利誤認につながるおそれがあります。公開日、終了日、確認者、根拠資料を記録し、キャンペーン終了時に自動で見直す運用を作ると安心です。
生成AI広告を安全に使うための実務フロー
生成AIを安全に使うコツは、「AIに正解を判定させない」ことです。AIは企画、言い換え、構成案、複数案の作成には役立ちますが、法令適合の最終判定者には向きません。商品仕様や証拠資料に基づいて人が確定する流れを作れば、制作スピードを保ちながら事故を減らせます。
まず、AIに渡す情報を商品マスタとして整理します。商品名、内容量、原材料、アレルゲン、栄養成分、原産地、保存方法、販売価格、通常価格、キャンペーン期間、根拠資料、使用可能な効能表現、使用禁止の言葉を明文化してください。AIには、この確定情報以外を補完・推測しないよう指示します。
次に、完成前のチェックを「表示事実」「広告根拠」「媒体ルール」の3段階に分けます。表示事実では、原材料、価格、内容量、期限、商品写真を確認します。広告根拠では、No.1、満足度、売上、効果、比較、受賞、口コミの出典を確認します。媒体ルールでは、POP、パッケージ、SNS、EC、チラシそれぞれに必要な注記や表示位置を確認します。
最後に、確認済みの表現を社内の「使える表現集」として蓄積しましょう。「使用可」「条件付きで可」「事前審査必須」「使用不可」を分類しておくと、AIへの指示も安定します。健康・医療・食品表示・高額商材などは、公開前に専門家や表示担当者へ確認する運用が最も確実です。生成AIは作業を速くしますが、商品の事実と法令を守る最後の確認は、人が担う必要があります。
投稿者プロフィール

- 2012年1月ラムジェットデザイン開業。2025年現在、札幌市西区在住の40代2児の父。サービス内容はウェブ担当(まるごと担当)・コンテンツ制作(診断コンテンツ・マンガLP・公式LINE運用)ウェブマーケティング・Wordpress・HP制作・SEO/MEO。
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